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2023年07月02日

「高齢者との不動産取引の注意点」 No.1,333

おかげ様です。
不動産コンサルティングマスターの村上哲也です。

今日は「at HOME TIME No.499 2023年7月号」からの抜粋です。

「高齢者との不動産取引の注意点」
みらい総合法律事務所弁護士 西尾江平


【今回のご相談】
高齢のXさんと、その息子のAさん親子から、Xさんが所有する不動産の売却の相談を受けました。
打合せには息子のAさんも同席し、Aさんは私の話をよく聞いてくれています。
しかし肝心のXさんが高齢で私の説明を十分理解してくれているか不安があります。
Xさんのような高齢者と不動産取引をする場合、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。


【回答】
Xさんに意思能力がない状態で契約をした場合には、契約が無効となります。そのためXさんに意思能力があるのかどうかということに注意が必要です。意思能力の有無を判断するには、不動産の売買条件や価格のみならず、不動産取引(売却・購入)の必要性、理由(動機)についてよく確認する必要があります。また取引時のやり取りだけでなく、Xさんの普段の様子や生活状況を確認することも重要になります。高齢者の判断能力に疑問がある場合には、法定後見制度を利用していないかどうかの確認も不可欠です。


【解説】
1意思能力について
意思能力とは、自分の行為の結果を正しく認識し、これに基づいて正しく意思決定をする精神的能力のことで、財産行為については概ね7歳くらいから認められると考えられています。
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、法律行為が無効となります(民法3条の2)
認知症だからといって、直ちに意思能力がないということになるわけではなく、個別判断になります。認知症の高齢者に意思能力がないと判断された場合、その契約は無効となります。



2不動産取引には高度な判断能力が必要
このように認知症の高齢者が契約当事者となる場合、後日、意思無能力を理由に契約が無効と判断されるリスクがあるため不動産事業者は特に注意する必要があります。
意思能力について理解しておくべき重要なポイントは、次の2つです。

1つ目は、不動産の売買で意思能力が認められるためには、相対的に高度の判断能力が必要と考えられているということです。意思能力がない者と締結した契約は無効となってしまうため、意思能力の有無は契約当事者にとって重大な関心事項です。しかし法律上意思能力のレベルについて具体的な基準はなく、一定の年齢以上の高齢者は一律に意思能力を有しないとする法律もありません。
そのため、認知症の高齢者が意思能力を有するかどうかを、各取引ごとに個別に見極めなければなりません。実務上、意思能力があるかどうかは、問題となる個々の法律行為ごとにその難易、重大性なども考慮して行為の結果を正しく認識できていたかどうかということを中心に判断されています。
これは、ある高齢者が日用品の買い物は一人で行うことができる場合であっても、その高齢者との間で行った不動産売買契約が意思能力が認められないことを理由に無効と判断されるリスクがあることを意味します。不動産売買は、代金額・支払時期・引渡しや移転登記の時期等の取引条件の相当性を適切に判断しなければならない複雑な取引であり、財産状態にも大きな影響を与えます。そのため、不動産売買で意思能力の有無が問題となった場合は、他の取引に比べると無効となったときのリスクが高いことになります。

2つ目は、意思能力に関するトラブルを防止するために何に注意すればよいかを把握するということです。
裁判例などをもとに考えますと、
①不動産取引(売却・購入)の必要性、理由(動機)
②売買価格の相当性
③売買条件の相当性

の事項に不合理の有無がみられる契約では、高齢者の意思能力の欠如が疑われます。
従って、高齢者と不動産取引を行う場合は、本人とコミュニケーションがとれるかどうかを確認するのはもちろんのこと、不動産取引の必要性・理由(動機)に不自然な点がないか、売買価格の相当性、売買条件の相当性が認められるかどうかも確認するようにします。
相談内容のように、Xさんが死亡した場合に相続人となるAさんを同席させることは意思能力に関する紛争を避ける一つの方法として有効と考えられます。このような方法であれば、親族であり相続人であるAさんに高齢者であるXさんの意思能力に問題がないことを確認してもらえるからです。

しかしながら、

Aさん以外にも相続人となるような親族がいる場合には、

その親族が、Xさん死亡後に相続人として、

不動産取引の無効を主張することが考えられますし、

Xさんの存命中でも不動産の売買契約後に、

裁判所に選任された後見人が不動産取引の無効を

主張することも十分考えられますので、注意が必要です。





3法定後見制度について
前記の通り、意思能力を有するかどうかは各取引の個別の判断になりますが、裁判所が画一的に能力低下を認定し、法律行為を制限するものとして、法定後見制度があります。法定後見制度とは、高齢者に限らず、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な人(「制限行為能力者」)に対して、申立てに基づき家庭裁判所が選任する保護者を付けることで、判断能力が不十分な人を
保護する制度です。制限行為能力者は、その程度に応じて、成年被後見人、被保佐人、被補助人に分類されますが、不動産売買に関して、成年被後見人と被保佐人は単独で有効な売買契約を締結することはできず、単独で行っても取り消されてしまいます。そのため保護者である成年後見人や保佐人を関与させることが必要となります。契約の相手方が制限行為能力者でないことは、法務局が発行する登記事項の証明書により確認することができますので、この点に疑義を感じた場合は、相手方に証明書の提出を求めてください。
また、制限行為能力者の居住用の財産を売却する場合には、
保護者の関与に加え、家庭裁判所の許可が必要となります。
この点にもご留意ください。




4まとめ
現在は、高齢化が進むとともに、認知症の患者数が増加し、
不動産取引においても、認知症の高齢者が当事者となり、
意思能力の有無が争われる裁判事例も増加傾向にあります。

どの程度の判断能力があれば意思能力が認められるのかを絶対的に判断する基準はありません
、各取引が、高齢者にとって合理性が認められる取引なのかを勘案し、倫理観をもって判断することで、トラブルは可及的に防止できます。
高齢者の方との取引の際には、取引を急がずに、慎重かつ丁寧に手続を進めてください





《感想》
たしかに、1年に1回ぐらいは、相談や実際の事案として、遭遇することがあります。
日本は、2007年に超高齢社会へ突入したわけですから、
そりゃ事案として多く出てきても、当然なのかもしれません。
超高齢社会は、65歳以上の人口の割合が全人口の21%を占めている社会です。

ですから、不動産市場の現場の感覚としては、
「不動産を売却しようと考えていたけど、所有者が体調を崩して意思能力があやふやになり、
今は施設に入っていて、後見人とかなんとか考えたけど、費用と手間がめんどくさいから、
また親戚とか身内に相談しないといけなし、とりあえず今は売ることをやめているんです」

という事案が、割と多いのではないのかな?と感じます。
そうこうしていると、すぐに数年が経過して、不動産価額も下がっていくのですが。
社会とか周辺とか、そんな不動産を取り巻く環境は、刻々と変化しますからね。




ですから、


「そんなん、無理やん!!!」


ってツッコミが入るのは百も承知として、

早め、早めの段取りが大切です。

「計画」って表現すると、何やらたいそうな企画として骨折るニュアンスを醸し出しますが、
「段取り」というと、ちょっとした次の一手を連想させてよいのではないのかなと。

まず、身内に「どうする?」と一本の電話を入れるとか。




この世の中の一番いい加減で、あてにならない、自分ではどうすることも出来ないものって、
「他の人間の意思」なわけですから、
そこまで気合を入れずに、ちょっとだけ動いて段取りすることです。
不動産を売却したり処分するには、早め早めの行動が良いと考えます。
一日、一週間、一ヶ月のような早急さは要求されわけですので、
「次に動くことを忘れない」ということが大切なのです。
重い腰を持ち上げると、後々の結果がとても楽ちんです。
大抵において「相続するまで待つか」のような諦めた発言も散見されるのですが、
その「待ち」がもたらす結果は、なかなかの大変さなんですよね。
それを一般の方には、想像する材料と経験に乏しいんです、仕方のないことですが。
100歳オーバーの方とお会いするのはさすがに少数ですが、
90歳代は普通にいらっしゃいます。
所有者の方も、その身内、親族の方にとって、
最も有効となる不動産の取扱いができればいいのですがね。

お気軽にご相談ください。



写真は、本文とは全く関係なく、ネタも全く無いので、
数カ月まえに、家族といっしょに焼き鳥を扇屋さんへ行った時のものです。
マルエフは、昔のビールの味がするような気がします。
昔って言っても、1980年代の話ですよ。
あれ?年齢が・・・(汗)。




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