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2023年03月05日

「瑕疵担保責任(契約不適合責任)を多くの人は正確には知らない(理解していない)」 No.1,319

おかげ様です。
不動産コンサルティングマスターの村上哲也です。

気温1度の中、早朝に自治会の河川清掃に参加して、
隠れた穴に落ち込み左足指を負傷するし、
花粉か鼻炎かよくわからない体調不良だし、
やれやれです。



今日の話は、未来の中古住宅の売主も買主も読んで理解をしておくべき内容です。
「読んでおいたほうが」ではなくて「理解すべき」内容です。「べき」です。

 at home TIME 2023年2月号版からの抜粋です。

「実際にあった判例」by不動産流通機構

【雨漏りは外壁コーキングの経年劣化によるものとして買主の瑕疵担保請求が棄却された事例】

「今回のケース」
平成29年7月、個人である買主は、宅建事業者である売主より、築約28年の共同住宅(本件土地・建物)を購入しました。

●売買契約の概要
・隠れた瑕疵に関する瑕疵担保責任による請求は、引渡後2年を経過したときはできないものとする。ただし、補修の請求に限り、引渡後3年間できるものとする。
・瑕疵担保責任の留意事項:築年数相応の自然損耗、経年劣化、耐用年数切れが原因で起きた雨漏り、水漏れまたは不具合等は、瑕疵担保責任の対象ではない。

本件引渡から約2年1カ月経過した令和1年8月、本件建物3階居室の天井付近に漏水が発生しました。同月、買主は売主に本件建物の漏水状況報告書、漏水状況の写真および見積書を送付して、瑕疵補修検討を依頼しましたが、売主はこの件に関して回答をしませんでした。
同年10月、買主は売主に対し、「本件建物は本件売買契約締結時において雨漏りが発生していた。また、本件売買契約締結時に雨漏りが存在しなかったとしても、本件売買契約から約2年1カ月しか経過していないにもかかわらず、雨水の浸入を招くようなシーリングやコーキングの状態は、通常の品質を契約時において有していなかったというべきであり瑕疵にあたる」として、買主がその修補等に要した費用102万円余等の損害賠償を求める本件訴訟を提起しました。
これに対して売主は、「本件売買契約締結時において本件建物に雨漏りが存在していたことの立証がされていない。また、本件漏水の原因はコーキングの劣化によるひび割れであり、築年相当の経年劣化にほかならず瑕疵には該当しない」と反論しました。


【解説】
裁判所は、次のように判示して、買主の請求をすべて棄却しました。

⑴ひび割れが契約締結時に生じていたとする証拠はない!
令和1年8月、台風が接近したことに伴う降雨により、本件建物内居室の北東側に位置する台所の吊り戸棚や天井付近から本件漏水が生じたこと、本件漏水時点で本件建物3階部分の北東側の外壁のシーリングないしコーキングに多数のひび割れが生じていたことが認められる。しかし、ひび割れが本件
売買契約の締結された時点で生じていない。
買主は、ひび割れが本件売買契約の締結当時に存在しなかったとしても、本件売買契約の締結から約2年1カ月しか経過していない時点で本件漏水を招くようなシーリングないしコーキングの状態は、本件売買契約の締結時点で通常の品質を有しておらず、当該時点で瑕疵があったというべきである旨主張する。

⑵中古物件であることを前提に契約している!
しかし、本件売買契約の締結時点で築28年弱の中古建物であったこと、本件売買契約の締結に当たっては、本件建物が中古物件であり、躯体および工作物ならびに諸設備等について築年相応の事前損耗、経年変化が認められることが前提の現況有姿売買であり、買主において引渡時に正常な稼働を確認し、引渡後に自然損耗、経年変化による劣化、腐食等を原因として設備の故障等があったとしても、それらは隠れた瑕疵に該当するものではない旨合意していること、外壁用のシーリング材の耐
用年数は一般に5年から10程度であることが認められる。
このように、本件建物が中古建物であることを前提に、本件売買契約において、経年劣化は瑕疵担保責任の対象外とする合意をし、本件建物の引渡時に正常に稼働していることを確認している一方、その後に顕在化したシーリングないしコーキングのひび割れの発生は、一般的なシーリング材の耐用年数を考慮すると、経年劣化によるものと言わざるを得ないことに照らすと、このひび割れは本件売買契約において修補の対象とされる瑕疵に当たるということはできない。
以上によれば、本件建物に本件売買契約締結当時、瑕疵があったと認めることはできず、これを前提とする買主の主張は、その前提を欠き、理由がない(東京地裁 令和3年11月25日判決)

【総評】
本件は、買主がコーキング不良により雨漏りが発生したと主張したが、裁判所は経年劣化によるもので瑕疵にあたらないとして棄却した事案です。瑕疵(契約不適合)は、引き渡された目的物が、種類・品質等に関して、契約の内容に適合していないことをいうものであり、

中古住宅の売買における契約の内容は、

取引後、経年劣化により不具合等が発生する可能性のある、

築後相当年数を経過した建物の売買であることから、

取引後の経年劣化による不具合発生は契約内容に適合するもの


であって、瑕疵(契約不適合)には該当しません。

しかし、中古住宅の引渡し後に生じた経年劣化による不具合等について、

買主が瑕疵(契約不適合)により、

担保請求ができると勘違いをするケースがよくみられます。


トラブル防止の観点から、宅建事業者においては、引渡し後、経年劣化により雨漏り等の不具合が発生する可能性があること、その補修等のメンテナンスは買主が行う必要がある(費用が発生する)ことを、売買に際して買主によく説明し、理解を得ることが重要です。


【感想】
う~む、今まで読んだ事案の中で、一番理解しやすい内容だと感じますが、
いかがでしたでしょうか?
難しい内容っちゃ難しい内容なんですけどね。
もうそろそろ、民法改正による瑕疵担保責任から契約内容不適合責任への言葉の変更による改正内容もじわりと浸透しているのではないでしょうか?言葉としては一周回って「やっぱり瑕疵担保責任のうほうがしっくりくる」という感じがしないでもないですけど、どうなんでしょうか?(笑)。

今回のケースの話は、とりわけ買主が理解していない場合が多いのかなと感じます。
売主が宅建業者ならば尚更の事「売主へ言えばなんとかなるでしょ!」的発想をする人が多いのかもしれないと感じます。
新築ではなく、あくまで中古なのですよと。
だから新築を好む!新築ができちゃう!日本の地方都市、
だから空き家が増えていき、
中古不安を払拭しようとインスペクション!と国土交通省が謳うもパッとしないし、
だから空き家がふ・・・・・、もうやめときましょう。

でもね、中古住宅もええもんですよ!(ちょっと無理がある文脈か?汗)
それと、だからといって、
売主は「はい!売れたらええんじゃ!なんちゃ知らんわ!」
ということではありませんので(笑)、ご留意ください。

不動産売買の売主が「いったい何を留意すべきか?」についてのご相談は、
T-不動産までお問合せくださいませ(最近やたらと営業トークが多い・汗)。





写真ですが、同級生が調査士試験合格のお祝いをしてくれたシャンパンです。
「うわぁ~、おいしいなぁ!」と感じたのは最初の1~2杯だけでして、
あとは「あれ?、これ白いぶどう酒に、あれ?、これソーダがはいっとんか?」という状態でして、
「自分はまだ酔っていない」という人ほど、アホほど酔っぱらっているわけでして、
おそらく3時間ぐらい滞在していたのでしょうけれど、
感覚としては30分ぐらいの滞在なのか?というほどポンコツ状態でして、
次の日の二日酔いは、風林火山の火のごとしでした。
同級生とは、3年ぶりでして、
当たり前ですが、3年も歳をくったわけでして、
お互い何とか頑張って生きていますよ!と。
最後の最後まで、努力して挑戦をしていかないかんですなぁと再認識しました。
誘ってくれてありがとう!



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